YARD Coffee House

「YARD Coffee House」は大阪・天王寺にあるYARD Coffee

and Craft Chocolateの2店舗目となるコーヒーの焙煎所を併設

したコーヒーショップの計画である。これまで、外部での

シェアロースターにてコーヒー豆を焙煎し提供していた

YARDが念願の焙煎機の購入を機に2店舗目を構える形とな

った。

計画地は大阪・大国町。間口約3m、奥行き約14mの面積約

45㎡の長方形空間で、お店の前には緑豊かな公園がある。

計画当初はしっかりとした客席を設えたカフェをメインと

した空間の要望であったが、予算が限られていたことやテ

ナントが狭小であったことからお客様のための空間ではな

くコーヒーが生まれる場所「アトリエ 」としてオーナーの

アイデンティティを伝える空間が良いでのはないかと提案

した。

店内はコンクリートのベンチがある客席、中央にカウンタ

ー、奥部には焙煎機を仕切り等を設けず配置したシンプル

なワンルームの構成。入口付近に設けたベンチからは店先

の風景を見ながらコーヒーを楽しむことができる。コンク

リート製のシンプルな形状のベンチは店前にある公園の花

壇にそっと腰をかけるような感覚。

中央に配置したロングカウンターは、コーヒーを淹れる場

所・飲む場所としてはもちろん、不定期で行われるオーナ

ーによるワークショップが開催されコミュニケーションの

場として機能する。豆のカッピングもこのカウンターで行

われ、魅せる設らえではなくリアルなコーヒーの姿を横目

に感じながら時間を過ごすことができる。

特徴的な壁面の列柱は、前テナント が使用していたものを

ボードのみ剥がして再利用。新たに間柱に棚板を挿入し物

販のディスプレイとして可変的に利用できる仕様とした。

天井面のLGS（下地）も同様に再利用し、植物やワイヤー

等をハンギングできるようにすることでイベント等にも対

応でき、これからオーナーが自ら空間を作り上げていく下

地を準備しておいた。

あえて収納等を設けていない店内は、コーヒー豆の袋や道

具、備品等で溢れかえっており一見雑多に見える光景も、

リアルな現場の空気を感じることができる。

今後このアトリエ にたくさんの人が集まり、コーヒーの魅

力が伝わる場所になることを願っている。

Location：Daikoku-cho,Osaka,Japan

Total Floor Area：45㎡

General Contractor：THE

Photography：Hideki Makiguchi